ゆかりメモ

いろんなことのメモです。

ぼくのかんがえるさいきょうのインターフェイス

さて、「自作キーボードAdvent Calendar2017」も残り1週間。 19日目担当のゆかり(@eucalyn_)です。

みなさんガチなお話が多いので、ここは一つ「ぼくのかんがえるさいきょうのインターフェイス」というお題でゆるふわ箸休め的な記事が書ければと思っております。

技術的な話はないので、そういう話が読みたい方は過去の記事を遡るか、コミケ本を読んでいただけると幸いです。
コミケ1日目コ-39bにて「キーボードの作り方本」新刊予定。内容は電子工作部分とBlenderによる3Dプリント用ケースデータの作成についてです。)


ぼくはPCと親友になりたい

そもそも友達が少ないたちの僕ですが、親友というのはなんでも話せる仲、なんなら話さなくても通じ合う仲という関係のことだと信じています。
それを踏まえて、ここで言いたいのは極力PCとのコミュニケーションコストを下げたいということです。 こちらが思ったことを気楽に的確に相手に伝えたいし、相手の伝えたいことを齟齬なく受け取りたい。
つまりPCともっと密接なコミュニケーションをとりたいということ。

さて、その際に使われるのが入出力インターフェイスです。
例えばディスプレイ、スピーカー、キーボード、マウスなどですね。

自作キーボードAdvent Calendar4日目の記事で@okapiesさんがこのようなことを仰っていました。

自作キーボードには「自分のクセをキーボードに合わせる」方向と「キーボードを自分のクセ(習慣)に合わせる」方向の、二つの方向性があるように思う。

okapies.hateblo.jp

僕もこの言葉の意図するところに大いに納得しました。 しかしここではもう少し広義に自分とPCの「お互いの歩み寄り」について考えてみましょう。

ここでいう「お互いの歩み寄り」とは、極力ストレスレスで感覚的な相互コミュニケーションを実現するためにPCの設定を変えたり、インターフェイスを変えたり、ユーザーが努力することだと思ってください。

例えばディスプレイ周りでいうと、より柔軟なディスプレイスケール設定や、ブルーライトカット眼鏡・ナイトシフトモードなどが歩み寄りと言えると思います。

ではキーボードは?


もっと感覚的に入力したい

一昔前、まだ大半の人がガラケーを使っていた頃の大学生の中には、PCで入力するよりガラケーでポチポチする方が早いわって人は多かったのではないでしょうか。
きっと今だとPCで入力するよりフリック入力の方が早い人もいるでしょう。

PC用のガラケー配列ポチポチキーボードがあってもいいし(見なくても片手で入力しやすそう)、PC用のフリック入力の手段だってもっと一般的でいい。(これはスマフォアプリでできるし、最近ハードウェアが発売されてましたね)

もっとそういういろんな入力インターフェイスの種類があっていいと思います。一般にキーボードは似たようなものしかなさすぎる。

そういう選択肢の一つとして僕は自作キーボードにハマっています。

如何に体に負担をかけない形のキーボードを作ることができるか。
自分の感覚に一番フィットするキーの数は幾つなのか。
どんなキーマッピングにするか。

本来それらは人によって違ったものであるはずです。 キーピッチも人によってはもっと小さいものが合う人も多いでしょう。

まだ見ぬEndGameを目指して最強のオレオレキーボードを作り続けてる果てのない冒険者たち、それが僕ら自作キーボード勢なんだと思います。

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長時間身体が触れるものにはお金をかけようという話

さて、話をもう少し具体的なレベルにスケールさせましょう。 長時間身体に触れるものにお金をかけるのは大事とよく言われますね。
特に一日数時間寝て疲労回復させるためのベッド、作業中はずっと座って身体を支える椅子。
例えば椅子でよく言われるのはアーロンチェア(10万円から)、ベッドやマットレスもいいものだと平気で10万円を超える世界の話ですが、買った人からは間違いなく買ってよかったと言われる品々です。

しかし長時間身体に触れるもの、何か忘れてませんか?
そう、PCの入出力インターフェイスです。

出力の方はわかりやすいので、割と考えられてる方は多いと思います。
ディスプレイをサイズ・解像度などで選ぶ。スピーカー・ヘッドホンやオーディオインターフェイスをちょっといいの買う。とか。

問題は入力インターフェイスです。

キーボードにこだわり始めてから、一体何人に言われたのかわからない言葉があります。
「普通のやつで十分だよw」

違うからーー!! そういう話じゃないからー!!

ペタッとした敷布団と掛け布団でも睡眠には十分といえます。
でもめっちゃいいベッド・マットレス・羽毛布団を買えばどうでしょう。
毎晩布団に入るのが楽しくなりますね?「あぁー、幸せだわー」となるでしょう。

めっちゃ格安で売ってる軽いPCスピーカーでも出力された音を聞くには十分です。
でもいいオーディオインターフェイスとスピーカー・ヘッドフォンを買えばどうでしょうか?
「あぁー、この低音域の迫力、痛くない高音域、そしてそれらと見事にバランスをとって、まさにそこにボーカルがいるように感じさせる中音域。最高だわー!」となります。

ではマウス・キーボードは?
例えばマウスについては、僕はここ8年ほどKensingtonのSlimblade Trackballを愛用していますが、毎日触るたびに 「おっ、今日も滑りの調子がいいね。大玉トラックボールの慣性も素敵。大好きだ。」ってなります。
彼についての詳しいレビューはまたいつか記事にしてもいいかもしれません。

キーボードについてはちょっとそんな簡単なものではないので章を分けて述べます。
とにかくキーボードは大事です。


触ってて楽しいキーボード(キータッチについて)

キーボードを触るたびにどんな気分になるか、というのは根源的な喜びに繋がるとても大事なポイントだと思っています。 しかしこれは人によってみんな違う嗜好があります。

ここではあまり軸をたくさん使ってみたことがない人向けに、僕の感覚でメカニカル軸の違いをわかりやすくまとめたいと思います。

リニア軸:押しただけスッと入る。すごく素直、いい子。
タクタイル軸:押した時にカクッと押した感覚を返してくれる。すごく健気、いい子。
クリック軸:押した時に「カチッ」と鳴る。周りの目が気になるやんちゃ。気持ちいい。
重い軸:やってる感がある。
軽い軸:気軽。

例えば、仕事するぞーって張り切ったテンションの時は、重い軸の感覚が欲しくなります。そういう時は黒軸(リニアで重い)やZealioPurple(タクタイルで重い)とかを使うことが多いです。
あまり仕事がなくてブラウジングとかやってるくらいの時は、クリア軸(リニアで軽い)が好きです。

そんな風に自分のテンションに応じてインターフェイスを変えるというのも、自作キーボード温泉の楽しいところです。

ぼくのかんがえるさいきょうのキーボードってどんなの?

自作キーボード勢の中では「格子配列」「左右分離型」というのがここんところ割とずっと人気だと思っています。

格子配列

そもそもよくあるキーボードが行によってずれているのはタイプライター時代の悪しき遺産。左右対称の方が美しいし、格子配列に慣れるとなぜかズレた配列に違和感を感じます。 人間の指は斜めに曲がるわけではないので、格子型の方が合理的です。

左右分離型

最近自作キーボードに友達を引っ張ってくる際の、一番訴求力が高いのはこの部分ですね。しかし周りの人がみて一番引くのもこの部分です。「え、それでどうやって入力するの?」何度聞かれたことでしょうか。効果は以下のイラストで一目瞭然だと思います。

肩甲骨が開く!無理のない姿勢!好き!

4行or5行?

長らくレツプリを使ったり、Ergodoxを使ったりしてきましたが、「数字キーの行がいるのか?」というのは人によって大きく分かれるところだと思います。
ホームポジションから2行も先へのアクセスよりも、レイヤーキーとの併用の方が打鍵コストが低いのでは?という4行派と、数字押すためにいちいちレイヤーキー押すのがめんどくさいですという5行派が僕の中でも長らく争ってきましたが、最近の結論は以下の通りです。
「気分&作業による」
最近は、数字キーをよく押す作業、より楽に作業したいときは5行のもの。数字キーをあまり使わないときはレツプリと使い分けています。

キーの数は?

レツプリ前辺りまでは自作キーボード界隈の盛り上がりの方向性は「よりキーの数を少なく!」って感じだったように思いますが、このところレツプリの揺り戻しか人によって別れているように感じます。
正直これに関しては難しいところですが、確かにレツプリで少ないと感じることも多かったので、1,2キー増えたくらいがいいのかも?と思っています。今のところHelixがベストです。


学習コストについて

さて、このようにPCから自分への歩み寄りは、インターフェイスをこだわるor取り替えることによって実行可能です。
ではよりコミュニケーションを最適化するために、ユーザー側の学習コストについて考えてみましょう。

慣れた配列と違うキーボードを使うだけで大なり小なり学習コストが発生します。 左右分離・格子配列というだけで最初はまともに入力できなかったりします。

しかし思ったより割とすぐに慣れる&頭の使い分けができるようになります。 例えばレツプリの場合、僕は右手親指部分にBackSpaceとEnterを配置していますが、普通のキーボードを打ちながらEnterで親指が動くことはありません。

個人的にはここで重視すべきは一時の学習コストではなく、将来的なコミュニケーションコストであるべきだと考えています。
数週間・数ヶ月学習コストがかかったとしてもその先のコミュニケーションコストが下がるならいいかなという考えです。
個人的には親指をいかに有効活用するかがレツプリの肝だと思っていましたし、実際それでよかったと感じています。

そこで問題になってくるのがアルファベットキー自体の文字配列です。
一般的に普及しているQWERTY配列は、タイプライター時代の遺産です。
それが負の遺産かそうでないかはともかく、日本語入力にも英語入力にも最適化されていないという問題があります。

この配列についても個人の感覚にふさわしいもっと別のパターンがあるのではないかというのが最近の考えです。 どうやらアルファベットキー配列に慣れるには数ヶ月かかってしまうようですが、試しに1週間ほど変更してみたところ、そこそこゆっくりではありますがキーマップを確認せずに入力できるようになるところまでは行ったので展望は明るいかもしれません。

ちなみにQWERTY配列以外にもDovorak・Colemak等いろんな配列がありますが、せっかくなので配列まで自分で考えてみました。

Eucalyn配列(仮)

ツイッターに適宜投げながら、いくつか意見をもらいつつ固めていった配列はこんな感じです。

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(Modifierキーの配置は無視してください。)

重要視したポイントはいくつか。

  • 日本語入力に特化していること。英語入力にも不便でないこと。
  • 母音を左手ホームポジションに集めることで交互打鍵ができるようにすること。
  • ZXCVという、ショートカットでよく使うキーを集めること。
  • Vim使いの人が移行した場合、キーアサインを変更しなくてもとりあえず感覚的に扱えること。

しばらく使った感じだと、割と打鍵の心地は良かったと思います。 今は使えてないですが、また少し余裕があるときに使って慣れていこうと思っているところです。


まとめ

書いた内容を削ってもそこそこ長くなってしまいました。 将来的には考えただけで入力されるレベルになってほしい。でもそれはまだしばらく技術的に難しそうですので、今ある技術の範囲で如何にストレスレスで感覚的なコミュニケーション手段を工夫できるかという挑戦です。

それはハードウェアからの歩み寄りでもありますが、僕らが今学習コストを払ってでも将来のコミュニケーションコストを削減する努力という方向性でもあります。

相互にストレスのない完全なコミュニケーションが取れたとき、PCは何時間触ってても苦じゃない最高の相棒になり、その最高の相棒が仕事も趣味もサポートしてくれるようになるのだと僕は信じています。

この記事はMacBookPro2017の内蔵キーボードとHelixBetaで書きました。